「お前たち人間は下賤だけれど、血はいいものね。」








紙で切ってしまった指先を憎らしく見詰めていると、
居候の分際で水銀燈が訳の分らんことを言い出した。(また、というべきか)







(血、欲しいわ。)






視界の端で、彼女が黒い双翼を広げたのは見えたが、
気付いた時には既に彼女が馬乗りになっていた。











赤く光る瞳



そうか、これも血の色ではないのか。










力の抜けた自分の指先が口許に持っていかれる。







(チクショウ、勝手に媒介にしたな。)







赤い雫をペロリと舐める。



ニヤリと笑うと八重歯が見えた。








まるで、吸血鬼。






「やっぱり、オイシイわ。」






やっぱりってなんだ、と思っていたら、彼女の顔が近づいてきた。


首元、非常に近い所で声がする。





「血、欲しいわ。」










無血の人形








当たり前!






これは本気で抵抗しないとやばいかも?