「なんでこんな昼間っから寝てるですかっ!お前は爺婆なのですか!」
ぐえっ
お腹に感じた酷い圧迫感と迫力のない怒鳴り声で目が覚めた。
なんという不快な目覚めだろう。
手探りで不快の根源を取り除こうとすれば思い切り抓られた。
「い゙でっ」
相手は人形で子供サイズ。
別に重くない。
重くはない、が、邪魔だ。
「早く起きるです。このスットコドッコイ!」
「なんで…いいじゃん別に。」
特に早く起きるような予定はないはずだ。
「駄目ったら駄目なんです!キノコ生やしますよこのヒキニートっ」
…何時の間にそんな言葉覚えた。
「…翠星石も昼寝すれば?子供は昼寝するもんだ。」
寝返りを打ちながら横目でみると、彼女は信じられないという顔。
直ぐに眉根がよった。
「お前よりずぅっとずぅっと永く生きてるですっ!その翠星石を子供扱いするとはっ」
…子供だろ…
こんなに必死になって。
素直に言えばいいのに。
さっきからスコーンを焼いているいい香りがしている。
気づいてるけど言ってはやらない。
「とにかくっ」
巻きつけるようにしていた布団をはぎ取られる。
「ちょっ」
布団は丸め込まれて彼女の腕の中。
「早く起きてくるですっ」
遠くで聞こえた焼き上がりのタイマー音は欠伸で聞こえないふり。
勇んで部屋から出て行く後ろ姿に笑みが零れる。
今日もまた、彼女と優雅なティータイム。
3時の人形
「3回回ってワンしたら食べていいですよ。」
フフンと鼻をならす翠星石
(…今日もまた、不毛な攻防戦を…)
ま、楽しいからいいけどね。