さみぃ…と言って、あなたの腕が私に巻きついた。
HUG
「ちょっ、本読めないんですけど。」
そうなれば当然彼のせいで私の動きは制限される訳で。
私はページを捲る手を止めざるを得なかった。
「だってさみぃし、お前ぇあったけぇし。」
そう言いながら更にギュッと力を込めた銀さんの腕を叩きながら「私は湯たんぽですかー」と問えば、
「銀さん専用のなー」と何とも気の抜けた答えが返ってくる。
離してくれる気のなさそうな銀さんの様子を見て私が力を抜くと、彼は嬉しそうに私の髪に鼻をうずめた。
しばらくそうしていたが、急に銀さんが体を離した。
どうしたのかと振り返れば、アゴに手を当てた彼。
私と目が合うと、「やっぱこっちだな」と言って私を持ち上げた。
気がつけば彼の膝の上、向い合せにされている。
目の前には満足そうに笑う銀さんの顔。
呆れた私は物も言えず、黙って彼の背に腕を回した。
「ぉ?乗り気?」
「バーカ」
憎まれ口を叩いてみるけれど、きっと銀さんは知っている。
私が滅法コレに弱いこと。
なんというか、この、銀さんの…匂い?と体温に包まれると、
自分でもびっくりするくらい安心しきってしまって…
(…ずっとこーしてたい……かも)
なんて乙女チックな考えになってしまうのです。
まぁ、私としてはハグで充分なんですけど…
銀さんはそうはいかないみたいで。
腰の辺りを撫で回す大きな手をつねると、イテっという声がした。
「何してんの?」
睨みながら聞くと応えの代わりに濃厚なキスが返ってきた。
「っ!?んっ…ふ?」
最後に下唇を軽く噛まれれば、もう身を任せるしかなくて。
「発情…的な?」
そう言ってニヤっと笑う銀さんに文句も言えない。
私の胸元に顔を近づける銀さんを見ながらそれまで読んでいた雑誌の記事を思い出した。
“体が密着したら男がする事はただ一つ”
「いやー、発情しない方がオカシイでしょ。」
そう言って彼は私に紅い跡をつけた。